【本】異邦人

星4つ
著者はカミュ。

『裁判長は、(中略)、あなたの行為(殺人)を呼び起こした動機をはっきりさせてもらえれば幸いだ、といった。私は早口に、すこし口をもつれさせながら、そして自分の滑稽さを承知しつつ、それは太陽のせいだ、と言った。』

理由もなき行動は、とりわけ不可解だが、そうした行動をとることもまた、事実。それを表現した作品。
カミュはこの作品に対して、

『・・・母親の葬儀で涙を流さない人間は、すべてこの社会で死刑を宣告されるおそれがある、という意味は、お芝居をしないと、彼が暮す社会では、異邦人として扱われるよりほかはないということである。』

と言っている。
かくて社会とは、マイノリティには厳しく、それは裁判の場ではなおさらである。
人種差別の多いアメリカで、死刑反対論がまきおこるのも無理はない。(なぜなら、同じ犯罪でも、黒人なら死刑、白人なら懲役となることが、あるので。)
日本でも、理解されがたい人(もしかしたら引きこもり、精神病)の被告が不当な扱いを受けているのかも。次、死刑論題になればこの点を、論じてほしい。

ただ、もちろん、死刑の賛成反対はこの一点において決まるものではない。

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