【本】日本の思想(丸山真男)

星5つ
「である」ことと「する」こと

この二つの価値は、近代までは「である」に価値が置かれ、現代では、「する」に価値が置かれつつある。

「である」とは、「(誰々)である」ことを意味し、上司、先輩、武士、農民などである。
「する」とは、「(いかに難しいことを)する」を意味し、端的には実績、実用を重視する社会である。

日本は「である」原理が強いために、前例踏襲主義であったり、制度や権利、義務を無批判に受け入れることが多い。
しかしながら、精度や権利は「する」原理を適用せねば、効果を得られないものも多い。
そうして、民主主義を無批判に受け入れれば、効果が得られると思うのは間違いだ。

この点を組織に当てはめて、丸山真男は、

引用
「急速に伝統的な「身分」が崩壊しながら、自発的な集団形成と自主的なコミュニケーションの発達が妨げられ、会議や討論の社会的基礎が未熟な時に、近代的組織や制度は閉鎖的な「村」を形成し、「うち」の意識と「うちらしく」の道徳が強くなる。組織や会議などの民主主義を促進するはずの制度は作られるのであるが、組織の内部の人間関係や会議の進め方は、徳川時代同様「うち」の仲間意識と「うちらしく」の道徳が通用する閉鎖的な「村」であった。」
終了

無批判になりがちな自分の思考方法を考え直す良い本。

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