【本】ジーキル博士とハイド氏

星４つ
二重人格を描いたことで有名なイギリス文学。
善良なるジーキル博士が、突然の発作で醜男のハイド氏へ変化する。

「二重人格」「精神分裂症」という病気をテーマにしたものではなく、自らの深層心理における善悪の価値観と実際の行動の乖離に悩む姿をテーマにした作品。

例えば、

ニュースで老人が死んだ話を聞けば、将来の負担が軽くなったと思ってしまう自分が醜い。もちろん、寂しいニュースだとも思うのに。

そうした時、自分には、「善なる自我」と「悪なる自我」が存在しているのではないかと考える。

こうした「悪なる自我」に対してストイックに悩む作品。


引用
【この掟こそ、宗教の根本に横たわり、しかも夥しい苦悩を醸し出す源泉の一つともなっているものだ。私は甚だしい二重人格者ではあったが、いかなる意味でも偽善者ではなかった。】
終了